パルシファル   − 聖杯の探求 −   縮小再話版



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  パルシファルについて


 このホームページに載せている物語は、
中世ドイツの吟遊詩人 Wolfram von Eschenbach によって書かれた作品
Parzival の縮小再話版です。

 原作があまりにも長く複雑な物語なので、短く読みやすい形にしました。
 多くの人にこの作品の趣旨を味わっていただきたいという願いを込めています。


 

  パルシファル って、どんな作品?


@ 聖杯獲得の物語

 一言でいえば、パルシファルは、主人公の騎士が聖杯を獲得する物語です。
 聖杯と言っても、この物語の中で、主人公が獲得するものは、聖杯という器そのものだけではなく、聖杯によって象徴される何かです。


A 象徴的謎解き物語

 それでは、主人公はどのようにして聖杯を獲得したのでしょうか。
 残念ながら、具体的な理由は書かれていません。
 しかし、それは、表面的に物語を読んだ場合です。
 慎重な姿勢で、主人公の言動や起きた出来事をよく吟味してみれば、様々な推測が可能です。

 ということは・・・
 なぜ、主人公が聖杯を獲得できたかは、言わば、読者がこの物語に隠された謎を解くことによって明らかになる・・・
と言えるのではないでしょうか。
 この物語は、読者に謎解きを要求していると言ってもいいと思います。
 しかも、その謎解きのヒントが象徴という形をとって、物語の随所に散りばめられています。
 それで、この作品は、象徴的謎解き物語と言うことができると思います。


B 物語の内容と形式

 人間の本質と人間の成長過程が、誰しもが通過するであろう典型的なバイオグラフィーの形式で書かれています。
 人間ってこういうものなのか!
 人間って、こういう風に成長していくのか!
 この二つの点が象徴的な手法で、端的に描かれています。
 主人公が生まれる以前の両親の物語から始まり、最終的に成功を収めるまでが書かれています。


 

  聖杯とは?


 フランス語で、"Graal" 英語で"Holy Grail"
 一般に、聖杯と考えられているものは2通りあります。
 一つは、西暦30年ごろ、イエス・キリストが最後の晩餐でワインを差し出したときに使用された器。
 もう一つは、イエス・キリストがゴルゴタの丘の上で、磔の刑に処されたとき、イエスが死亡したことを確認するために、わき腹に剣が刺されました。そこから流れる血を受けとめた器です。
 これら二つの器は同じものであり、聖杯と呼ばれています。  また、その時に使用された剣を聖槍と言います。
 これは、伝説なのですが、誰かがそれらを保持し続けていると言われています。
 どこにあるのかは、わかりません。
 ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハはこの物語の中で、聖杯を水晶のような石として描いています。


 

  題名について


 原作の Parzival  は中世ドイツ語で書かれています。
 これを現代ドイツ語の読み方にしたがってカタカナ表記すれば、「パルツィファル」 になります。
 アメリカでは、なぜか、これを [ parsifal ] と読みます。
 このホームページのパルシファルという題名は、このアメリカ読みからとっています。

 偕成社から出版されている「アーサー王物語」には、「パーシバル」 という名で登場します。

 その他の「アーサー王物語」には、「パーシヴァル」と表記されています。

 ドイツの作曲家R.ワーグナーは、この原作をもとにオペラを作るときに、題名を Parsifal に変更しました。
 Parsifal はアラビア語で純粋な愚か者という意味です。

 このオペラは、日本では 「パルジファル」 と表記されていますが、
最近は、アメリカのメトロポリタン歌劇場での上演の影響からか、アメリカ読みの「パルシファル」と表記する場合が増えています。

 
 原作の唯一の邦訳は、中世ドイツ語の発音に近づけて、「パルチヴァール」 と表記しています。


 

  留意点


 この縮小再話版を作るにあたりまして、原作の意図が伝わりやすくなるように心がけましたが、第9章だけは、内容を大幅に変更しています。

 第9章の内容は、キリスト教色が強い上に、そこに時代の限界があると感じたからです。中世の時代から現代にいたるまでの哲学、思想の進歩を導入して、現代の若者に分かりやすく、有効な形に書き換えました。
 この点につき、ご理解をいただければと思います。
 原作のままをお読みになりたい方は、参考文献に載せた邦訳を見てください。


 

  参考文献


Wolfram von Eschenbach, “PARZIVAL”
Translated by H.M.Mustard and C.E.Passage
VINTAGE BOOKS 1961 (絶版の可能性あり)





ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ 「バルチヴァール」
加倉井粛之、伊東泰治、馬場勝弥、小栗友一訳
郁文堂 1974 (絶版)





Wolfram von Eschenbach, “PARZIVAL”
Translated by A.T.Hatto
PENGUIN CLASSICS 1980


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